3ヶ月に1度来る読書欲


COO八尋です。私は本屋さんが好きです。たくさんの本がある中から、面白そうな本を探すあのワクワク感がたまらなくて行くとアレもコレもとついつい買ってしまいます。だけど、家に帰ると自分のものにしたという安心感で、読まずに机の上に放置していたりすることもしばしば。。。

そんな、こんなで読みかけの本が軽く10冊くらいはあります。

ですが、3ヶ月に1度のタイミングで時間を忘れるくらい読んでしまう本に出会います。それが今回は、西加奈子さんの「くもをさがす」でした。

私はホスピス病棟に勤務していたので、癌の事については一通りの事はわかります。日本で大きな病院にかかり、癌の治療をするという事についての流れや、先生、看護師の対応などなど容易に想像はつきます。ただ、この本を読んで国が変わればこうも違うのか!とどんどん夢中になり、読み進めて行きました。カナダで癌になり、色々な病院を渡り歩き(カナダの医療システム上)それを体験した日本人の反応を、この本には赤裸々に書いてありました。もちろん、行われる治療はスペシャルなものです。ただ、ただ、文化も言葉も違うカナダでの癌治療は驚くことばかりでした。例えば、手術当日に退院する事。日本ではあり得ない事です。筆者は両胸の乳房を切除して、かつそこにドレーンが入っているのに、当日に退院して、ドレーン管理を自分で行わなければなりませんでした。医療者の私でもよーしきれません。。。。「排液の色、量を毎日自分でチェックして」など術後のアフターケアについての説明をzoomで看護師から説明されていました。しかも全部英語です。あと、看護師がタトゥーをいれていて、部屋着の様なスウェットの上下とショッキングピンクのコンバースを履いてカッコよく仕事をしていること。(イッツナイス)

筆者は関西人なので面白おかしく、時にはツッコミやオチをつけながら書いていたので生々しいところもありながら、笑ってしまうことが多くて2日で読んでしまいました。

その中でも印象に残っているのが、カナダに住む人々が、癌を告知された筆者にハグをしていた事。私もハグが好きで、子どもには毎日していています。悲しい時や、嬉しい時など患者さんによくしてしまいます。ハグができない時は、横に座って肩を撫でたり。手を握ったり。(コミュニケーションを重ねて関係性ができている方に。)

何もできなくても、ハグする事で思いを分かち合えている気がします。私はハグが大好きです。そこだけは同じだなと思いました。

この本はカナダでの癌治療について以外にも、癌当事者側からの視点で告知された時の思いなどなどが詳細に書いてありました。カナダの文化、気候、医療制度と、新しい知識も得られました。

テレビでもたくさん紹介されているし、本屋さんでは1番目のつくところに置いてあります。ぜひぜひみなさんも読んでみられてください。きっと読んだ後に、これは読んで良かったと思われると思います。


Hospice mind ホスピスマインド

福岡県糟屋郡志免町で保険外の自費看護サービスとホスピスシェアハウスを展開するHospice mind(ホスピスマインド)のホームページ