看護の本質再考〜プライベートナースの活動を通して〜


現在プライベートナースとして、入院中の会員様の代わりに、定期的にペットのお世話を行っています。もちろんそれだけではありません。植物の水やりや、ゴミ出し、入院中の会員様への差し入れも行っています。文字だけ見るともしかしたら「看護師でなくてもできるのでは?」と疑問視されるかもしれません。

先日、ある病院の居宅介護支援事業所さんへご挨拶に伺った際、そちらの病院の事務局長さんにも紹介していただきました。事務局長さんが「どういった内容の事をされているのですか?」と質問してくださいました。「なんでもやってます。今ご入院中の会員様のペットのお世話にも行っています!」と言うと、事務局長さんはすぐに理解してくださり「なるほど!ペットのお世話をすることが、その方を全人的に看るということに繋がるんですね!」とおっしゃってくださいました。

私が学生の頃、初めての実習で受け持った患者様の洗濯物が溜まっていました。しかし身体が思うように動かず、自分では洗濯ができないと困っておられました。洗濯機を回しましたが、実習時間が過ぎてしまうため、許可をいただきに師長さんへ声をかけると、「それは看護ですか?」と言われたことを覚えています。

病院という組織には看護師に加え、看護助手などの職種の方もおられ、分業されています。私自身も病棟管理者として、より良いケアを提供するためにいかに効率よくワークシェアリングするかを考えていました。しかし、そもそも看護とは何を指すのかを考えてみました。

ナイチンゲールは『看護覚え書』で、看護は患者の生命力の消耗を最小限に抑える活動と言い、ヴァージニア・ヘンダーソンも『看護の基本となるもの』の中で、健康回復に役立つ諸活動であると言っています。ペットのお世話をしてくれる人がいなければ、この会員様は入院できませんでしたし、そうなればこの方の健康回復は妨げられたわけです。

もちろん看護師であるため、ただペットのお世話をするだけではありません。この方の精神安寧のために、毎回写真や動画もつけて状態報告もしますし、面会や外出の際にはしっかりと思いの傾聴も行います。

例えば冷蔵庫の掃除一つとっても、その方が普段どのような食生活を送っており、基礎疾患との関連性やその方のパーソナリティを考慮し、真のニーズはどこにあるのか、ニーズに添いつつどのタイミングでどのようにして生活を整えて行くのがベストかなど、アセスメントしながら関わっています。

保険内で行おうとすると必ず制約が出てきます。訪問看護師ができないこともあるのですが、保険外となると、その制約は無くなります。すると皮肉にも、思う存分“看護の基本”ができるのです。

"全人的なケアと看護の本質を考える中で、私たちの役割は単なる仕事ではなく、ご利用者様の生活に寄り添い、それを豊かにすることにあることを再確認しました。プライベートナースとして、一見看護師でなくてもできるサービスを提供することは、本当の看護の基本と結びついています。これからも、ご利用者様の健康と真のニーズを全人的な視点で守り、支えるために全力で取り組んでいきます。

Hospice mind ホスピスマインド

福岡県糟屋郡志免町で保険外の自費看護サービスとホスピスシェアハウスを展開するHospice mind(ホスピスマインド)のホームページ